コンクリートレス・タワーを建てる


 コンクリレスタワー、13回ほど建てました。

20歳の頃に建てたKT18Rを皮切りに、2020年のKT20SRまで、他人様のものまで数えるとトータル20回くらい。さいわい、ひとつとして倒壊して被害を出したものはありません。最初の数年は3度傾くくらいは日常茶飯事でした。タワーの傾斜は、雷雲からの50m/s超のダウンバーストにより自立させておいたKT-N(22mH)のレールが曲がって5度傾いたのが最高記録。現在使用中のKT-SRにあっては微動だにせず。だからといって他の人にコンクリレス工法はお勧めしません。やるなら安全な場所で、自己責任で、必ず4ぬという覚悟でお願いします。

 


 

 

クリエート KT-20SR コンクリレス工法 13回目(2020 Jan.)

 

過去の記録を確認すると、新年早々にタワー工事をやっていることが多いようです。そして今年は、人生初となるKT-SRタワーのコンクリレス工法、通算13回目です。まずは、千葉県から解体・移設です。

 

今回は今までよりも大型のタワーなので、型を作って精密に掘っていきます。コンクリレス工法の1つ目のポイントはタワーの形状にピッタリ合わせた精密な穴掘りです。

場所と向きを決めます。当地は北西風が強いので三角形の頂点を風上に合わせました。

掘削開始。使うのはスコップ一丁、完全手掘りです。

砂利の転圧層があまりに固いので古い道具を引っ張り出して、渾身の一撃!

と思いきや痛恨の空振り。ヘッドはどこ行ったん!?

ぉぃいいいー!笑

砂利層を抜ければ、その下は黒土。ここまでくれば土木機械並みにスピードアップ。サクサク掘り進めます。

下の層を確認するため、ダブルスコップ(通称アヒル)で部分的に深堀りします。

一度崩した土は今後百年もとの固さに戻らないので、こまめに型で確認しながら精密に掘っていきます。ベースユニットもテーパーになっているので、まずはユニット上部の大きさに合わせてストレートに掘ってから一発勝負でテーパーを作ります。←超重要!

 

時々、部分堀りして下層の様子を確認。

地表から1.5mほどで関東ロームに到達。

深さ2mくらいまではスコップで土を放り投げられますが、さすがにこれ以上はツルベを作って引き上げます。そうしないと、放り投げた土砂が"土砂降り"となって再び穴の中に舞い戻ってきます。笑

2.5立米の土を排出。よく頑張った、自分。

さて、タワーの組み入れです。

底部のブレースが当たるので切断。

レールが乗るところにコンクリートピッコロを置いて水平出し。仮組しながら調整していきます。

穴がぴったりすぎるのでブレースが当たるところを削りながら組み立てます。

ボルトを通すために手が入るようスペースを掘削。ボルト1本通すのにこんな感じですから、ベースユニットの組み立てに丸一日を要しました。

その甲斐あって、不動の基礎ユニットが完成。

我ながら恐ろしいほどのジャストフィット。これだけピッタリしていると十分な成果が期待できそうです。

自分史上最大サイズの墓穴ができました。スコップ一丁で掘ったので物凄い達成感あります。笑

さて埋め戻しです。ユニットがピクリとも動かないので垂直出しは心配ありません。棒で突いて土を砕き、できるだけ隙間を作らないようにします。ここがコンクリレス工法の2つ目のポイントです。

掘り出した土を埋め戻したときに面が平らになっていれば成功です。古墳のように盛り上がっているのは土中の隙間が多かったためで、それは立派な施工不良です。ちなみに、踏み固めながら埋め戻すのはダメです。やってみると分かりますが、大量の残土が発生しますので、結局その分だけ地耐力を失うことになります。

 

 


 

クリエート KT-R コンクリレス工法 9回目

(2016 Jan.)

 

2016年の今正月早々、通算9回目となるコンクリレスタワーの建設を開始。今回の建設地は、従来畑だったところに盛土、転圧してから20〜30年ほど経った土地。

 

 

地表にまかれた砕石は散々車に踏みつけられ、しっかりと固まっていました。1.2x1.2x0.5を掘るのに1時間・・・

折れそうな心を支えるのはDXingへの情熱ですね。

表層の砕石が取り除ければ、ここからはペースアップ。

粘土混じりの盛土の層が続きます。埋め立ててから30年ほど経っているようですが、元々そこにあった土ではないので柔らかいです。楽に掘り進める反面、タワーの保持力としてはイマイチ。

土質を確認するため、一部を1.6mまで部分堀りしました。ここでローム層に到達。非常に強固でタワー底部を支えるのには十分。時間切れなので、今日はここまで。深さ1.6mから2.4mまではタワーのサイズにピッタリ合わせて三角堀りを行い、砕石を投入します。

2日目

昨日の残土のかき出しに時間を取られ、三角掘りはほとんど進みませんでした。最下段ユニットを新たに入手するか、リデュース部の4Rを埋めてしまうか・・・その場合は12.6m高になります。15mはほしいところ。

クリエートのKTRシリーズは、一番下の基礎穴をタワーの形状にピッタリ合わせて掘り下げます。写真の通り、説明書にも描かれている(0.5m)のですが、まれに上から下までストレートに掘る人(業者を含む)が見られます。この部分には、タワー本体と土を接触させることで接地抵抗を下げる目的がありますので、掘り出した土を埋め戻すようにします。またコンクリレスで建てる場合はタワー底部がてこの支点となるため、ローム層などの強固な地層に0.6m以上埋めるようにします。この部分がしっかり固定されている限り、弾けるように倒壊することはありません。傾くときは、必ず地表付近の土が逃げてしまうことが原因です。コンクリレスに不安があれば、もちろん指示書通りにコンクリートを打設すればよいのですが、そこまでしなくても地表から1.5x1.5x0.5ほど(1リューベ強)コンクリートを流せば、表層付近の土が逃げてしまうことが防げます。また、この程度の量のコンクリートならば撤去する際も電動ブレーカーでも砕けます。

 

三角堀りで60cmほど掘り下げ、さらにレールが乗る部分は30cm掘りました。この時点で、一番深いところまで2.5mあります。

50kgほど砕石を投入し、タワーの重さが集中することを軽減します。三角堀りが精密であれば、地上高15mくらいであれば砕石や玉石はなくても大丈夫です。三角堀りが深ければ深いほど保持力が上がってより傾きにくくなりますが、掘るのは大変です。タワー底部の地質が柔らかい黒土や盛土を転圧した土地の場合はこのような支持力が期待できませんので、根っこが弾けるように転倒する可能性があります。そのような土地では、コンクリートを多めに打設するしか手がありません。コンクリレス・タワーはどのような場所でも実現できるわけではありませんのでご注意下さい。

 

 

地下ユニットとなる5RXですが、本来は6RXが使われます。両者の違いは、ブレースの構成とプレート(600x990mmx3枚)の有無です。旧タイプ(〜95年7月頃)のKT-Rではレール厚が異なります。それよりも古いタイプのものはレール幅も異なるため、ジョイナーのサイズが合わず接続できません。KT-Rの中古を入手する場合は注意が必要です。今のところ、KT-Nではこのような経験はありません。

 

最下段となる5RXを投入

レールが乗っている砕石の量を調整して垂直出しをします。わずかな傾きは土を埋め戻しながら修正できますが、2度以上傾いているとそのまま斜塔になりますのでできるだけ正確に調整します。

 

 

 

 

 

50cmほど土を埋め戻すたびに細い棒で突きながら傾きを直します。十分に突き固めることで建設初期から十分な保持力が得られるので、トータルで・・・1000回くらい?頑張ります。なお、細かく砕きながら突き固めることで残土がほとんど残りません。

掘った土は、埋め戻す前に細かく砕いておきます。

こういう玉になっている土が多いと、地中に空間ができてしまい地耐力が上がりません。残土も多くなります。残土の多いコンクリレスタワーは残念ながら失敗です。

コンクリレス、残土レス、コストレス・・・エコです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリエート KT-N コンクリレス工法 8回目

 

これまでに、KT-RとKT-Nをコンクリレスで7回建て、7回解体しました。今回で8回目。台風や春先の季節風で3〜5度ほど傾いたことはありますが転倒や倒壊はないです。前回(7回目)は自分史上最高の23mHのKT-Nを建たものの、風速50m/sを超える突風により根元から折れ、風下に5度ほど傾斜。今回はその残骸を再利用して22mHのコンクリレスタワーを地盤の緩い田んぼの真ん中に建設しました。

 

基礎にコンクリートを使わないことを自殺行為だという人は少なくありませんが、必ずしもそうではありません前回の屈折したタワーを見て「それ見たことか!」と言う人もいました。しかし、現場の状況をよく観察するとコンクリレス工法は十分に実用的である事がわかります。

 

ただ、コンクリレス工法はすべてのタワー、場所で利用できるわけではありません。正規の工法でないのでおそらくタワー保険は下りませんしたがって決して他人様には勧めません。まぁ、遠巻きに見ていてください。

 

 

 

掘ってみて初めて分かりましたが、この土地は地盤が非常に緩い。畑の真ん中みたいなところだから、仕方ないのですが...

 

1.5m掘ってみたましたが、ひと雨でご覧の通り。先が思いやられます。

 

電気のない畑の真ん中なので車のバッテリーにインバーターつなぎ、大きめなバスポンプで排水開始。 

 

さすがに揚程が足りず、バケツにロープをつないで100回ほどかき出し。さぁ、掘削再開です!

写真右下は、穴から這い上がるための足掛け。深度1.8mでローム層に到達。ここから三角堀りで1mほど掘り進もうとするも、とんでもなく強固。ローム層を10cm掘るのと黒土を1m掘るのが同じくらいの労力です。


結局、30cmほど掘り下げてギブアップ、最下段のユニットを投入。

 

当初の計画では2.8mほど埋めるはずでしたが、2.1mで勝負することにしました。


 水平出しをしながら1リューベほど埋め戻し。

 

 表層の地盤が緩いため、単管パイプの根巻き(根かせ)を入れます。

根かせ付近は特に地耐力が要求なので、セメント3層の積層構造のプレートをにする予定でしたが、運搬と施工の手間に負けて従来工法に切り替えました。そのため7エレ(ブーム長20m)を6エレ(同16m)へ変更するこにしました。同時にタワー長も再検討が必要になりました。

 

埋め戻し完了です。

垂直出しの修正のため2段目を乗せ、土が少し締まるのを待ってユニットを積み上げていきます。

 

 

 

天気が良かったので、午後の1時間で2段ほど積み上げ、先端で7.5mほどに。派手に揺すってみましたが、思ったよりもしっかりしていて安心しました。ユニットは11段分ほど準備しましたが、様子を見ながら地上高を決めていくことに。

 

タワー本体、完成。

旧KT-Nを当面は自立タワーとして使いますが、場合によっては支線を張ろうと思います。