FM放送受信用アンテナの製作  for 88~108MHz FM


大昔は、マスプロからFM10という10エレ八木アンテナが売られていましたが、とっくの昔に販売終了。今ではFM8Aという8エレが最大? ブーム長は3.2mでゲインは最大9dBiくらい。そもそも、たまげるほど遠くのFM放送を受信したがる変わり者は極少数=商売にならないほどの市場規模、なのでメーカーだって作りたがりません。ビジネス的にそんなニッチな連中など無視すれば良く、変に相手にすると株主に怒られます。私やみなさんのような変わり者は、結局、自分で作るしかないわけですね(笑)

 

 では、やりますか!

 


設計方針

 

基本的な考えは「アンテナの基本」に書いた通りですが、今回、いちばん時間を割いたのは「広帯域化」です。なにせ、88〜108MHzにわたる広い帯域でバランスの取れた諸元を実現しないと・・・まぁ無理です。 大抵の無線(送信)用アンテナは今回のFM放送(受信)用のものよりバンド幅が狭いですが、それですら、あっちが秀でればこっちが劣り、と相反する性能のバランス取りで苦労するわけですから。今回、唯一救われるのは「受信用」という点です。すなわちSWR<3くらいまで実用範囲として許容できますが、「バランスが取れた」は非現実的なので、贅沢要素であるFB比をある程度犠牲にします。波長に対する地上高は十分なので垂直面放射パターンも無視します。

 

とはいえ、DX用ですから当然フロントゲインを重視し、ミニマムは16dBI、目標は20dBiです。HFの感覚だと、どのバンドであれ16dBiあれば満足な性能が期待できます。最近は6mでもスタックを組んだり仰角ローテーターを導入する局もいることろ見ると、勝手が違う気もします。その辺は経験がないので、これからの宿題です。

 

とりあえず、ビッグシングルでいきましょう。


エレメント長・間隔

材料は 

エレメント:φ10

ブーム:最大φ32〜φ46

クロスマウント 

 DXアンテナPT08B

インシュレーターパイプ

 HI VP13 水道管

 

電気的性能

フロントゲイン20dBiを目指しましたが、広帯域化したことによる代償で到達できず。FB比は贅沢要因なので高くを望まず15dB〜で妥協しました。結果、後ろへの抜けが多く、締まりのないおしりになりました。

 

 

ゲイン・FB比カーブ

上端側でゲイン最大です。先端(D8)と後端(REF)の長さの比を大きくすると広帯域化でき、2直線はX型になります。エレメントの長さの比を小さくすると狭帯域になり2直線は並行になります。DX目的なのでゲイン優先です。

 

SWRカーブ

これが一番苦労しました。最大値はゲイン20.2dBi、FB比は35dB以上ですが、そこを狙ってしまうと帯域幅がFc±5MHzくらいになってしまうので妥協です。上記の通り、先端と後端のエレメント差を大きくすることでカーブを緩くしました。

 

 

組み立て

中心周波数Fcを90MHzにするとエレメント間隔の合計は7.5mですが、もしFc80MHzだと8.3mくらいになるのでブーム長は約8.5mとして変更できるようにしました。この日は、エレメントのアライメントとマスト位置の確認などを実施。FMアンテナとしては大きいですが、14MHzの6エレや7エレに見慣れているにので「こんなちびっこ、大丈夫か?」「もっと大きくしていおけば・・・」と若干の不安と後悔があります(笑)

 

 

タワートップへ

地上23mH、海抜90m。同軸ケーブルは5C-FBx30mで、電気的な長さは合わせていません。寒冷前線にともなう雷雲群が接近しているため時間との戦いになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

受信結果

76〜100MHzくらいまで局がぎっしり。同ー周波数に複数の局が出ており潰し合いのQRM。アンテナを30度ほど振ると片方の局をカットできるので、これはブーム長が長くビームパターンが鋭いアンテナの最大の武器です。高性能なフィルター特性をもつ高級受信機でも同一周波数の2局を切り分けることはできないので、アンテナは受信における最重要フロントエンドだという証明です。

 

FM放送は、局名のアナウンスが頻繁にないため局の特定に手間がかかります。とりあえず静岡FMなど地方民放やFMかしまなどのコミュニティFMがいくつか受信できているので動作はしているようです。

 

局が特定できた受信レポートは、のちほどまとめたいと思います。

 

 

各部寸法

今回製作したアンテナはDX(海外局)にフォーカスしたため中心周波数は95MHzです。国内用には以下のデータを参考にしてください。電気的性能はほとんど変わりません。大きさもです・・・

 

 

 

以下は、中心周波数80MHzの国内向けの寸法です。

電気的特性はのちほど掲載します。

 

※今後、4〜7エレくらいの一般的なサイズのアンテナもシミュレーションして、各部寸法や電気的諸元も載せていこうと思います。アマチュアらしく、安くて簡単、高性能を追求します。

 

FM放送 10エレ 八木アンテナ 自作